試用期間中なら自由に解雇できる?|14日ルールと本採用拒否の注意点

試用期間の評価項目を確認する面談の手元

「試用期間中なら、合わないと感じた時点で自由に辞めてもらえる」。この理解は危険です。

試用期間は、入社後の勤務状況を見て適性を判断するための期間ですが、すでに労働契約は成立しています。本採用拒否や試用期間中の解雇にも、理由と手続きが必要です。

この記事では、2026年9月12日時点の法令と厚生労働省の案内をもとに、「14日以内なら自由に解雇できる」という誤解を解き、会社が取るべき手順を整理します。

目次

試用期間は「雇う前のお試し」ではない

試用期間を設ける場合も、採用時点で労働契約は始まります。賃金、労働時間、社会保険の加入判断、労災保険の適用などを「本採用後から」と一律に先送りすることはできません。

試用期間の長さ、延長の条件、本採用を判断する基準、試用期間中の労働条件は、労働条件通知書と就業規則で明確にします。通知書と就業規則で内容が食い違うと、判断の根拠が揺らぎます。

本採用拒否は通常の解雇より広く認められるが、無制限ではない

試用契約では、入社後の調査や勤務状況から適性を判断するため、通常の解雇より広い範囲で解約権が認められる場合があります。それでも、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められることが必要です。

厚生労働省の労働契約法Q&Aも、合理性と相当性を欠く解雇は無効になると説明しています。

「社風に合わない」「期待したほどではない」といった抽象的な感想だけで決めず、採用時に示した職務と基準に照らして確認します。

「入社14日以内」の意味は、解雇予告の例外

試用期間中の労働者を雇入れから14日以内に解雇する場合、労働基準法上の30日前予告または解雇予告手当が不要になることがあります。

ただし、これは解雇予告の手続きに関する例外です。解雇理由そのものが不要になるわけではありません。14日以内でも、理由が客観的に合理的でなく、社会通念上相当でなければ、解雇の有効性が争われます。

雇入れから14日を超えた場合は、原則として30日前の予告か、不足日数分の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要です。詳しくは厚生労働省「突然解雇を告げられた場合のQ&A」で確認できます。

判断前に踏みたい5つの手順

  1. 採用時の基準を確認する
    求人票、職務内容、必要な能力、試用期間の規定を確認します。
  2. 事実を具体化する
    日時、業務、指示内容、結果、本人の説明を、評価語ではなく事実で記録します。
  3. 必要な支援と指導を行う
    未経験者への教育不足や、指示の不明確さが原因でないかを見直します。
  4. 改善点と期限を伝える
    何を、いつまでに、どの状態へ改善してほしいかを本人が理解できる形で共有します。
  5. 解雇以外の対応も比較する
    配置、業務分担、教育、試用期間の適法な延長など、契約と就業規則に沿う選択肢を検討します。

1回のミスだけで直ちに解雇できるとは限りません。厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」も、行為の内容、会社への影響、故意の有無、やむを得ない事情などを踏まえて判断されると案内しています。

よくある危険な対応

  • 本人の言い分を聞かず、上司の印象だけで決める
  • 採用時に伝えていない能力や成果を、後から基準にする
  • 指導の記録をまとめて後日作る
  • 「自主退職にすれば問題ない」と退職届を迫る
  • 有期契約の途中解雇と無期契約の解雇を同じ基準で扱う

有期労働契約を期間途中で解雇する場合は、「やむを得ない事由」が必要とされ、無期契約より厳しく判断されます。また、業務上の傷病による休業中、産前産後休業中など、法令上の解雇制限が問題になる場面もあります。

解雇・本採用拒否を伝える前のチェック

確認すること 見る資料
試用期間と判断基準 労働条件通知書、雇用契約書、就業規則
問題とされた事実 勤怠、業務記録、指導記録、本人の説明
教育・改善の機会 研修記録、面談メモ、改善計画
予告・手当の要否 雇入日、解雇予定日、平均賃金
解雇制限・差別禁止 休業状況、申告・相談歴、個別事情

試用期間は、早く切るための期間ではなく、採用時には分からなかった点を確認し、必要な教育を行い、継続雇用を公正に判断するための期間です。

注意指導の伝え方と記録は、パワハラと言われない注意指導のポイントでも解説しています。

セーフコア社会保険労務士事務所では、試用期間の規定、指導記録、就業規則との整合を確認し、個別事情に応じた進め方を整理します。解雇の有効性が争われる可能性がある場合は、弁護士との連携も検討します。

試用期間中の対応について相談する

参考資料

制度・資料の確認日:2026年9月12日。本稿は一般的な考え方を整理したもので、個別事案の解雇の有効性を判断するものではありません。実際の判断前には、具体的事情を資料とともに専門家へ確認してください。

  • URLをコピーしました!
目次